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新潟地方裁判所 平成6年(わ)242号 判決

本店の所在地

新潟市内野町八五四番地

株式会社サンリード

右代表者代表取締役

小山孝雄

本籍及び住居

新潟市内野町一二六〇番地

会社役員

小山孝雄

昭和一九年六月二九日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官錦織聖出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社サンリードを罰金一四〇〇万円に、被告人小山孝雄を懲役一年に処する。

被告人小山孝雄に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社サンリードは、新潟市内野町八五四番地に本店を置き、水晶振動子の製造等の事業を営むもの、被告人小山孝雄は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人小山孝雄は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空仕入及び架空外注加工費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  平成二年四月一日から平成三年三月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が一億〇八二三万八一六七円(別紙(一)修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同年五月三一日、新潟市営所通二番町六九二番地の五所在の所轄新潟税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六四四一万六三七一円で、これに対する法人税額が二一四四万五三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額三七八七万八五〇〇円と右申告税額との差額一六四三万三二〇〇円(別紙(四)ほ脱税額計算書参照)を免れ

第二  平成三年四月一日から平成四年三月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が一億〇七二八万八二九六円(別紙(二)修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同年六月一日、新潟市営所通二番町六九二番地の五所在の所轄新潟税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五七一七万六五〇二円で、これに対する法人税額が一八二九万七九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額三七〇八万九九〇〇円と右申告税額との差額一八七九万二〇〇〇円(別紙(五)ほ脱税額計算書参照)を免れ

第三  平成四年四月一日から平成五年三月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が一億二二四六万五二九二円(別紙(三)修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同年五月三一日、新潟市営所通二番町六九二番地の五所在の所轄新潟税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七〇六一万一一四〇円で、これに対する法人税額が二四二二万七五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額四三六七万二七〇〇円と右申告税額との差額一九四四万五二〇〇円(別紙(六)ほ脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

判示全事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書三通

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書九通

一  小山孝子の検察官に対する供述調書

一  中川清(抄本)、長橋実(二通)、宮澤良平(二通)、手塚勝広(二通)、小池光、佐藤銃二、上別府誠及び小山孝子(九通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  新潟税務署長作成の課税状況の回答書

一  大蔵事務官作成の売上高調査書、修繕費調査書、減価償却費調査書、受取利息割引料調査書及び道府県民税利子割額調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書(1)、捜査報告書(2)、平成六年九月二一日付け捜査報告書、捜査報告書(材料仕入高について)、捜査報告書(外注加工費について)、捜査報告書(消耗品費について)、捜査報告書(接待交際費について)、捜査報告書(交際費等の損金不算入額について)及び捜査報告書(事業税認定損について)

一  新潟地方法務局登記官作成の登記簿謄本

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の広告宣伝費調査書、事務用消耗品費調査書及び雑貨調査書

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の備品・消耗品費調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書(厚生費について)

(法令の適用)

被告人小山孝雄の判示各所為はいずれも被告人株式会社サンリードの業務に関してなされたものであるから、被告人株式会社サンリードについては法人税法一六四条一項により同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算した金額の範囲内で被告人株式会社サンリードを罰金一四〇〇万円に処し、被告人小山孝雄の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一年に処し、被告人小山孝雄に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

(検察官求刑、被告人株式会社サンリード罰金一五〇〇万円、被告人小山孝雄懲役一年)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 山本武久)

別紙(一) 修正損益計算書

〈省略〉

別紙(二) 修正損益計算書

〈省略〉

別紙(三) 修正損益計算書

〈省略〉

別紙(四) ほ脱税額計算書

〈省略〉

別紙(五)

自 平成3年4月1日

至 平成4年3月31日

〈省略〉

別紙(六) ほ脱税額計算書

〈省略〉

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